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2022年6月11日 (土)

越中源氏-「走馬燈 女たちの深き欲望」デッサン②

 沖縄には68年の夏休みにもう一度行った。今度は今村昌平監督『神々の深き欲望』の助手としてだ。新聞で尊敬する今村監督が沖縄で新作を撮影することを知り、印南喬教授に紹介状を書いてもらい、当時京王線幡谷駅近くにあった今村プロへ面接に行った。面接担当は印南さんの教え子だったし、今村さん自身、早稲田の先輩だったので、即採用。ただし、タダ。面接翌日から今村プロへ通い、当時『東シナ海』(磯見忠彦監督 68)と同時進行していた『神々の深き欲望』の細々とした準備を手伝った。手伝うだけでなく、映画で踊る稽古もプロの役者たちに交じって特訓された。
 いざロケ地である石垣島川平集落へ夏休みに行っても、主演沖山秀子が怖がって、撮影中にネズミを次から次へと絞め殺すので、先輩とゴミ捨て場でネズミを夜、捕まえることなど、汚れ仕事が多かった。何よりも参ったのは、集落のガキたちが、ボクら下っ端助手たちの合宿所(川平公民館)の前に集まり、朝顔を洗おうと公民館前にある洗面所に行こうとするボクに「ウゥ、ウゥ」と沖山秀子のヨガリ声を合唱して、真似てみせるのである。夜、沖山秀子の宿舎で今村さんとのsexを子供たちが忍び寄って逐一聞いているのである。突然のことなので、びっくりするボクが面白いらしく、まだ小学生の坊主たちに毎朝、繰り返し、繰り返し、沖山秀子の日毎変化する歓喜のヨガリ声を聴かされた。

 そのうち、川平湾に面して唯一ある、「川平ホテル」のジュークboxで、当時流行っていたサイモン&ガーファンクルのレコード「コンドルは飛んでゆく」「ミセスロビンソン」等を、ロケが終わってから一人で聴いていると、集落の浅黒い少女たちが寄ってくる。彼女たちも好奇心一杯で「色の白い東京の学生」をナンパに来ているのだ。せいぜいで高校生、多くは中学生のまだ乳房も発達していない幼い少女たちが「どこから来たの?」「今、何をやっているの?」と慣れない標準語で迫ってくる。その中でもひと際、目立つ美少女を選んで「川平ホテル」下の砂浜でチュウしたり、幼いオッパイを揉んでみたりしたが、まだまだ挿入するほどの踏ん切りがつかなかった。いま射精すれば、妊娠する可能性は強まる。責任を取らされる。それを知ってか、知らずか少女は挿入を迫る。春休みに那覇・国際通りの裏町でナンパされた少女も同じだ。もちろん、両者ともに処女ではない。しかし、ボクはまだ童貞である。

 おふくろに「勉強のため」と、無理を言って送金してもらい、川平集落から30分ぐらいタクシーを飛ばして、石垣市の女郎宿へ通った。タクシー代が3ドル50セント、チョンの間(射精1回)が同じく3ドル50セント。ただ、往復のタクシー代は同じ今村組のスタッフで割り勘にするから、2ドル余り。相方の娼婦はタクシーの運転手に相談して、外れがないようにしていた。1回6ドル(当時2160円)あれば、女郎屋へ通える。
 女郎屋の名前は「蓄音機旅館」「大浜旅館」等が記憶に残っている。飲み屋、キャバレーが密集している繁華街から、少し離れ、女郎屋は固まってある。薄暗い赤電灯が軒先に吊るしてあるから、判りやすい。ボクが童貞を捧げた(射精迄行った)のは、蓄音機旅館の典子だった。「那覇から海水浴に来たんだけど、金が足りずアルバイトをしているの」ともっともらしい口上で、さっさと下着を脱ぎ、ベッドで股を拡げる。30歳前で肥満体である。こちらは薬局でゴムを買い、2~3分腰を動かしていただけで、もう我慢が出来ず、射精をする。
 石垣港近くにある喫茶「朱欒」で待ち合わせ、それから公民館に帰るのだが、女を買った後は洗面所の水道で繰り返し、繰り返し、「男性自身」を石鹸で泡立てて洗った。自分が梅毒に感染されているという思い込みが強くあった。

 そのうち、石垣市内にある「蓄音機旅館」へ通わなくなった。タクシーの運転手から「あそこの英子は30前で可愛いですよ」と勧められ、いざ合体しょうと乳房に手をかけると、母乳が出てくる。あれ、出産後すぐに客を取っているんだ。復帰前の沖縄は、内地に比べれば売防法は緩やかであった。それでも、母乳が滴り落ちる娼婦は珍しい。急に何か悪いことをしているのではないか、と反省し、英子に会ってから女を買うことは断念した。その代わり、町の中央にある商家の可愛い一人娘と知り合い、暇さえあれば、立ち寄ってお喋りしていた。
 
 大学2年の時に今村昌平監督の「神々の深き欲望」を手伝って、その後のボクの人生は大きく変わった。それまで「ブサ面」を恥とし、女性たちの前ではいつもモゾモゾしていたが、撮影現場で今村さんを見続けていくうちに元気が生まれた。こんなデブ、チビ、それにダサいオヤジよりもボクの方がもっと格好いい。ボクの方がモテて当然だ。ただ、作った作品がない。それさえあれば、俺の方がもっとやりたい放題なんだ!その根拠なき自信がボクの人生を大きく変える。

 

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