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2022年6月 1日 (水)

「越中源氏」-「美しきがゆえに・・・」デッサン⑥

 最初はもちろん、警戒心が強かったが、wikidepediaでボクのことを確認し、書いた本、特に『裏歌舞伎町マリア横丁』(現代書館)などを図書館で借りて、読んでいくうちに徐々にボクの事を信用してくれるようになる。メールでは、そのうち「哲ちゃん」「ゆりっぺ」と呼び合うようになる。23日に午前中、新宿御苑で話を聞いてから、12時から「ゆりっぺ」を引き連れ、『裏歌舞伎町マリア横丁』に紹介したヤバイ所まで潜入した。「ゆりっぺ」には目立たない服装で、運動靴を用意するよう伝えてある。

 百人町一丁目はとりわけ不穏な雰囲気が残っている。かっての銭湯の後や、ドヤ(簡易宿泊所)を見せても、ゆりっぺは怖がるどころか、好奇心丸出しで付いてくる。極めつけは「新宿区作業宿泊所」という今にも崩壊しそうなアパートである。山手線沿いに細長く建てられており、1階は作業場が確かにあるが、中には飲み屋に代わっている所もある。明らかに違法である。2階はアパートになっているが、手摺りが錆びついて危ない。ゆりっぺがわざわざアパートの住人の名を確認した。全員、李、金、朴等という朝鮮名である。そう、ここは新宿駅前にあった「朝鮮部落」を、東京オリンピック前に、裁判所の勧告で、ここに移転してできた特異な所なのである。いくら変装しても、上品な奥様であるゆりっぺは、建物の正体をボクに明かされて、キョトンとしている。 そこの落差が可愛かった。そして、古希になっても、ゆりっぺの物怖じしない好奇心がうれしかった。

 ゆりっぺをそれから歌舞伎町二丁目に密集しているラブホテル街へ案内する。多くは在日コリアン(韓国・朝鮮人)が経営している。薄暗い横町に入ると、昔ながらの古臭いところが多い。2時間6千円というのが表通りのこじゃれたホテルの相場だが、横町に入ると、5時間2500円という破格の値段の所もある。ただし、何十年も前に建てられたもので、部屋の中も古臭いまんまである。2か月前までに「全身クラリネット」明子と月1~2回、同じホテルを利用していたので、迷わず「ホテル フランセ・パリス」(歌舞伎町2-6-8)に入る。ここは車椅子でも利用可能で重宝した。
 ゆりっぺも抵抗なく入室する。そこで、まずゆりっぺが作ってくれたお握りを食べる。

 ゆりっぺが「私は料理も得意なのよ」と自慢するだけあって、生活クラブ生協のお握りは美味しかった。別居後、94歳で大往生した義父の遺産が入り、また田園都市線沿線に高級マンションを購入したが、夫とはずっとSEXーLESS。やはり、浮気が許せないのだ。現在も寝るところは別で、食事・洗濯も夫は一人でしているそうである。夫の食事はコンビニ弁当。極めつけは、寝る時に寝室のカギはしっかりと施錠するそうである。そんなゆりっぺのお握りをラブホテルで自分が食っていて良いのかな、と思った。
 確かにゆりっぺとはここ2~3日の間に距離感はぐっと狭まった。例えば、前日(22日)に文京区民センター3A会議室で、琉球放送製作『遅すぎた聖断』(40分)が上映されたが、ボクは他に仕事が入っていて、行けなかった。でも、天皇の戦争責任を考える上で必見の作品である。ゆりっぺにボクの代わりに見てもらえないか、資料を受け取って欲しいと相談すると、快諾してもらい、文京区民センターへ一人で行ってもらった。それだけでなく、今度は「11AM劇場」まで手伝ってくれるという。もう「同志」のようだ。ゆりっぺも百人町一丁目、文京区民センターで、今までの所と全く雰囲気が違う所で、ヤバさを楽しんでいたようだ。

 女性と「合体」するためには、まず相手の「心」が開かれなければならない。それから体が受け入れ可能になる。ボクはてっきり、もうゆりっぺの心は充分開かれたと、早トチリをした。しかし、余りにも男性不信が強かったゆりっぺは、もっと時間をかけなけねばならなかったのだ。手を出す前に、ゆりっぺは急に泣き出し始めた。こちらは何もしないのに。
 関東にある母の実家へ夏休みに遊びに行った時に、年長の高校生だった従兄にいたずらされたらしい。ゆりっぺがまだ高校1年の時だ。たまたま実家に人が少なかった時に、従兄が無理やり下着を触り、手を入れてきたそうだ。余りの驚きに声が出なかったらしい。「美しいがゆえに」、この時も犠牲になっている。
 「みんな知っているはずなのに、誰も助けに来てくれなかった」とボクに泣いても、当方はいかんともしがたい。ここでまた繰り返される。
 「男は勝手だわ、私は排泄便所ではないのよ、ほっといて!」

 

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