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2019年3月17日 (日)

ゆきゆきて「皇軍」ハルモニ―タブーの映画

 40年も前に作った映画『沖縄のハルモニ』が、、3月23日(土)に同じアップリンク渋谷小劇場(東急デパート本店裏 6825-5503)で連続6回目上映することになった。8ミリ同時撮影機で撮ったもので、御世辞にも綺麗と言えないザラザラの画面に、沖縄本島南部の砂糖キビ畑片隅の3畳の掘っ建て小屋に棲んでいるハルモニ(朝鮮語でおばあさん)が、ぼくの質問に答えるものである。

 会うまで一週間かかった。畑から掘っ立て小屋へ行く一本の小川が渡れないのである。撮影スタッフは8月のカンカン照りの下で、毎日朝から晩までハルモニの撮影許可が出るまで、音を殺し、ひたすら待った。日ごろのお世話をしている朝鮮総連の若奥さんが説得に当たってくれているのだが、ハルモニは頑なにぼくたちと会うことを拒否した。

 75年に沖縄に生き残りの朝鮮人「慰安婦」がいるということが、那覇入国管理局から漏れ、多くの人たちが取材を試みているが、あえなく玉砕している。時には気分を害したハルモニが鎌を振り上げて取材者を追い払った事実を聞いているので、こちらはただひたすら気分が好転し、取材OKが出るのを待つしかない。

 たまたま説得を依頼した若奥さんとハルモニが厚い信頼関係があったせいと、その日がハルモニにとって、珍しく気分の良い日だったせいか、一週間待ってようやくOKが出た。掘っ立て小屋から出た若奥さんが小走りで橋のそばへ駆け寄り、手招きしてくれた。若奥さんも興奮していた。

 いざ、橋を渡って、撮影を始めようとすると、ハルモニが大学同期の李君に拒否反応を示す。インタビュアー兼コーデネータとしてわざわざ沖縄まで来てもらったが、ぼく一人がインタビュアー兼カメラマンとして両役こなさなければならなくなった。やはり、カメラを廻しながら、質問するのはつらい。それ以上にハルモニが、予想外の答えを出すのである。

 「日本軍に勝ってほしかった、ええ、山(慶良間諸島渡嘉敷島日本軍陣地)にいるとき、そう思っていたんですよ」と、断言されると、ぼくはどう受け止めてよいのか、解らず、カメラを廻したまま絶句してしまう。辛うじて、「朝鮮人慰安婦であるハルモニは本当にそう思ったのですね?」と確認するだけである。「ええ、そうです」と自信をもって肯定する。

 ぼくの頭の中では「私は日本軍の被害者で騙されて沖縄に連れてこられたんです、悔しい、アイゴー」と言って、朝鮮半島独自の「身世打鈴」で激しく嘆くはずだったのに…。真逆の反応にぼくだけでなく、映画の観客の多くはこのシーンに息を呑む。どうして、ハルモニはこんな反応をするのか、未だにぼくはよく解からない。

 このシーンに留まらず、不可解な場面が続く。ハルモニは美空ひばりの大フアンで、熱狂的な追っかけであった。そして、美空ひばりの歌を知らないぼくを「非国民」と言って、大々的に糾弾する。東大入試に美空ひばりの「リンゴ追分」の歌詞はなかった。それでも、ハルモニは執拗に音痴のぼくに「リンゴ追分」を歌わせようとする。根負けしたぼくがうろ覚えの歌詞をうたうと、観客のほとんどが嘲笑する。こんなもの、どこが面白いのだ、と編集に言っても「いやここが面白いのです」と断固却下された。

 最後にハルモニと那覇のアパートに移った時、一緒に夕飯を食った。その時、「おいしいね、夫婦みたいに」と漏らし、「私は哀れな星の下に生まれてきたんたんですよ、母は駆け落ちし、父は小作人で兄弟バラバラになってしまったんですよ」と泣き出された時、ぼくはそれをどう受け止めてよいか、おたおたした。それは同時録音のカメラにそのまま収録されている。

 『沖縄のハルモニ』は恥ずかしい、みっともない映画である。英国映画研究所でドキュメンタリーを学び、日本映画学校(現 日本映画大学)で20年間もドキュメンタリーを教えていたぼくの最大汚点ともいえる。しかし、10本近い、監督・制作作品の中で、今もって支持され、上映されているのは、その下手っぴーな、恥だらけな『沖縄のハルモニ』だけであることは事実である。

 残念ながら『沖縄のハルモニ』が許せない、と言う一部の「慰安婦支援団体」の人がいるのは事実である。その人たちの間では『沖縄のハルモニ』はタブーである。しかし、実際にこの映画、特にぺ・ポンギ ハルモニを見てほしい。

 日本の朝鮮支配―植民地制度の実態が良くわかるとおもうのだが・・・。

 * 前売り券が順調に売れています。全5回と同様、当日、前売り券がないとは入れない可能性が出てきました。お手数ですが、早めに6825-5503に電話してください。

 

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コメント

あんまりモンク言うのも野暮なので黙ってましたが、

>ゆきゆきて「皇軍」
って、なんのことなんでしょうかね。

もちろん、原一男氏の「ゆきゆきて神軍」のもじりなのでしょうが、ムリヤリすぎませんか。緊張感のかけらも感じられません。

>残念ながら『沖縄のハルモニ』が許せない、と言う一部の「慰安婦支援団体」の人がいるのは事実である。

具体的に誰だか指摘したらどうですかね。

『沖縄のハルモニ』が許せないと言う人はそんなにいないと思いますが、あなたのここでの言動が許せないと言う人は、多いと思いますよ。

私に限って言うと、「許せない」とは思いませんが、ナサケナイとは思いますふがね。

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